私たちは、電子顕微鏡解析、光学顕微鏡解析、CLEM、試料調製技術などを組み合わせ、生物試料の構造と機能を多角的に理解するための研究を進めています。 また、開発した顕微鏡技術や施設の解析基盤を活かし、大学・研究機関・企業との共同研究やプロジェクトにも参画しています。
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顕微鏡技術を組み合わせた基礎研究
電子顕微鏡と光学顕微鏡を組み合わせ、植物細胞の内部構造やオルガネラ動態を解析しています。
これまでに、植物の細胞内輸送、液胞形成、根端細胞におけるERボディの動態、オートファジーなどを対象に、超微構造解析やCLEM解析を行ってきました。
科研費 新学術領域研究「植物多能性幹細胞」などにも参画し、植物幹細胞の形態解析にも取り組んでいます。
植物細胞におけるタンパク質分泌機構の解析
高圧凍結技法による電子顕微鏡観察と生細胞蛍光イメージングを組み合わせ、植物細胞におけるタンパク質や細胞壁成分の分泌機構を解析しました。
その結果、分泌性タンパク質や細胞壁成分を含む小胞塊状の構造体を見いだし、これを「分泌小胞塊(Secretory Vesicle Cluster: SVC)」と名付けました。SVCは細胞内を高速に移動し、細胞膜や細胞板に融合することから、植物細胞の分裂や伸長に関わる重要な分泌構造体であることがわかりました。
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植物細胞における液胞形成とタンパク質分解機構の解析
液胞は、植物細胞の体積の大部分を占めるオルガネラであり、タンパク質の貯蔵や分解、細胞の伸長、形態保持などに重要な役割を担っています。
私たちは、電子顕微鏡解析、免疫電顕、高圧凍結技法、蛍光イメージングを組み合わせ、液胞が形成・分化する過程と、液胞を介したタンパク質分解機構を解析してきました。
アズキ発芽種子の子葉細胞では、KDEL配列をもつ分解酵素が小胞体から液胞へ直接輸送され、分解型液胞の形成に関わることを明らかにしました。また、ミトコンドリアなどのオルガネラはマクロオートファジーにより、デンプン顆粒はミクロオートファジーにより液胞へ取り込まれ、分解されることを示しました。
さらに、タバコ培養細胞やシロイヌナズナ根端細胞を用いた解析により、液胞膜の挙動、タンパク質凝集体のオートファジー分解、植物組織における液胞形成過程を明らかにしてきました。
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-シロイヌナズナ側部根冠ERボディの解析
シロイヌナズナの根端を広域電子顕微鏡観察し、側部根冠領域に小胞体由来の紡錘形構造体「ERボディ」が恒常的に存在することを見出しました。
連続断面SEM、蛍光イメージング、CLEM、高圧凍結技法、免疫電顕を組み合わせて解析した結果、側部根冠ERボディは液胞と接触・融合し、β-グルコシダーゼPYK10を小胞体から液胞へ直接輸送することが明らかになりました。
この成果は、根端を保護する側部根冠細胞において、小胞体由来のERボディが防御関連酵素を液胞へ運ぶ特異な輸送経路として機能することを示しています。
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共同研究
当施設では、顕微鏡解析技術を活かした共同研究を行っています。
生物試料の固定・包埋・切片作製・断面観察・CLEM解析など、試料や研究目的に応じた解析法を組み合わせることで、通常の観察だけでは捉えにくい構造情報の取得を目指しています。当施設で保有する顕微鏡機器、試料調製装置、ならびに独自に開発してきた解析技術を用いて、大学、研究機関、企業との共同研究を進めています。
基礎生物学から環境資源科学、材料研究、医学・工学分野まで、顕微鏡技術を軸とした分野横断的な研究連携を展開しています。
先端バイオイメージング支援プラットフォーム(ABiS)
当施設は、先端バイオイメージング支援プラットフォーム(ABiS)を通じた電子顕微鏡解析支援にも参画しています。ABiSは、生命科学研究に必要な先端・特殊イメージング技術を支援する全国的なプラットフォームです。光学顕微鏡、電子顕微鏡、画像解析など、各分野の専門機関が連携し、研究目的に応じたイメージング支援を行っています。
電子顕微鏡解析に関する支援を希望される場合は、ABiSの公募・支援制度もご参照ください。
先端バイオイメージング支援プラットフォーム(ABiS)
主な共同研究例
- 導管形成に関する電子顕微鏡解析
名古屋大学 小田博士らとの共同研究。FE-SEMを用いた切片SEM撮像により、シロイヌナズナ導管形成過程の超微構造解析を行いました。
- 植物の接木とオートファジーに関する解析
京都大学/名古屋大学 野田口博士、黒谷博士らとの共同研究。植物の接木過程に関わるオートファジーの解析において、切片SEM解析を担当しました。
- クロロファジーに関する電子顕微鏡解析
理研CSRS 中村博士、泉博士、萩原博士らとの共同研究。切片SEM法による電顕撮像を通じて、クロロファジーに関わる細胞内構造の解析をサポートしました。
- ステビア糖転移酵素に関する解析
富山大学 庄司博士らとの共同研究。植物組織の切片作製を担当し、ステビア糖転移酵素に関する研究を支援しました。
- 植物細胞構造のTEM解析
名古屋大学 山田博士らとの共同研究。TEM解析により、植物細胞内構造の詳細な観察を行いました。
- ミドリムシの走査電子顕微鏡解析
ユーグレナ社との共同研究。ミドリムシの走査電子顕微鏡観察をサポートしました。
- 医学・眼科領域における顕微鏡解析
千葉大学、神戸アイセンター病院の研究者らとの共同研究。顕微鏡解析技術を医学・眼科領域の研究にも応用しています。
参画プロジェクト
- 福島国際研究機構F-REI
- 科研費 学術変革領域研究(A)「植物気候フィードバック」公募研究 代表(豊岡) 2024–2027年度
- 科研費 学術変革領域研究(A)「植物シンプラスト」分担(豊岡) 2025–2029年度
- 科研費 学術変革領域研究(学術研究支援基盤形成)「先端バイオイメージング支援プラットフォーム ABiS」 分担(豊岡) 2022–2027年度
- データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト事業 「バイオ・高分子ビッグデータ駆動による完全循環型バイオアダプティブ材料の創出」 分担(豊岡) 2022–2032年度
- 科研費 学術変革領域研究(A)「クロススケール新生物学」 分担(佐藤) 2021–2026年度
- AMED-CREST「心筋メカノバイオロジー」 連携 2018–2022年度
- 関東経済産業局 サポイン「画像ビッグデータ取得のための高性能ウルトラミクロトームの研究開発」 分担(豊岡) 2019–2022年度
- JST ERATO「沼田オルガネラ反応クラスタープロジェクト」 分担 2019–2023年度
- 科研費 新学術領域研究「植物多能性幹細胞」 分担(豊岡) 2017–2023年度
- 理研エンジニアリングネットワーク「イメージングネットワーク」 分担 2018–2020年度
- 理研横断プロジェクト 共生生物 iSYM 分担 2017–2020年度