応用例
根圏における植物・微生物・土壌界面の可視化
bioCP-SEMを用いることで、根の周囲に存在する微生物集団、バイオフィルム様構造、菌糸ネットワーク、土壌鉱物を、植物組織との位置関係を保ったまま観察できます。従来の観察法では、根や土壌粒子を分離する過程で失われやすかった空間情報を保持できるため、根圏の構造的理解に有効です。
### 野外試料への応用
野外で採取した根圏を含む土壌試料では、植物根、微生物、菌類、土壌粒子、有機物が複雑に入り混じっています。bioCP-SEMでは、これらの構造を一体として樹脂包埋し、断面研磨することで、自然に近い位置関係を保った広域断面像を取得できます。これにより、実験室条件だけでなく、環境中の植物・微生物・土壌界面を構造的に解析することが可能になります。
### バイオフィルム・菌糸ネットワークの観察
bioCP-SEMでは、根表面や土壌粒子周辺に形成される微生物集団やバイオフィルム様構造、菌糸ネットワークを広域に観察できます。微生物がどのような場所に集まり、土壌粒子や植物組織とどのように接しているかを、電子顕微鏡レベルで可視化できます。
### 複合環境試料への展開
bioCP-SEMは、根圏試料に限らず、地衣類、コケ群落、菌類、微生物マット、動植物組織と微生物の界面など、異なる性質を持つ成分が混在する複合試料への応用が期待されます。硬い鉱物成分と柔らかい生物成分を同じ断面上で観察できるため、生物と環境の境界領域を解析するための有効な手法です。
関連資料
- Toyooka K, Saito Y, Kojima S, Goto Y, Sato M.
“Biological cross-sectional polishing scanning electron microscopy enables wide-area ultrastructural mapping of intact plant–microbe–soil interfaces.”
Communications Earth & Environment, 2026.
- 理化学研究所 プレスリリース
bioCP-SEMによる根圏イメージングに関する発表, 2026.
- Behind the Paper
“Seeing the hidden architecture of environmental interfaces by bioCP-SEM.”