開発技術

DMSO凍結割断・オスミウム浸軟法(ODO法)

細胞や組織、あるいは器官内部の表面構造を直接観察することは困難です。そこで、液体窒素を用いて試料を凍結し割断することで、観察目的の構造物を露出させる方法が凍結割断法です。細胞内小器官などの観察法として普及しているオスミウム-DMSO-オスミウム法について紹介します。
① 通常の固定処理に従い、グルタルアルデヒドによる前固定と四酸化オスミウムによる後固定を施します。
② 緩衝液で洗浄した後、25%DMSO、50%DMSOの順に30分間ずつ処理します。
③ 凍結割断装置に液体窒素を入れて、予め冷却しておきます。
④ スポイトで50%DMSO溶液をステージ上に垂らし、径0.5から1cmほどの滴状塊を作り、凍結する前に試料を入れ込みます。小さく切ったパラフィンフィルムを載せると目的の箇所を割断し易くなります。
⑤ 約十数秒後、試料を含む滴状塊が凍結したことを確認したら、割断したい部分を狙って、片刃カミソリ又は割断専用刃を滴状塊の上に押し当て、ハンマーで軽くたたいて割断します。
⑥ 割断終了後、50%DMSO、25%DMSO水溶液、蒸留水の順に30分間ずつ処理、置換していきます。
⑦ タンパク質を分解するため、試料を0.1%オスミウム・リン酸緩衝液に入れ、常温で2〜3日処理します。これを浸軟処理といいます。
⑧ 試料をリン酸緩衝液で丁寧に洗浄した後、1%タンニン酸・リン酸緩衝液で導電処理し、再度リン酸緩衝液で洗浄します。
⑨ SEM観察の常法に従い、脱水、乾燥、載台、コーティング処理を施して観察します。

豊岡公徳,若崎眞由美,武田紀子,佐藤繭子 「走査電子顕微鏡を用いた植物組織・細胞の新しい捉え方」 Plant Morphology 32 3-9

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こちらの総説をご覧ください。
日本植物形態学会誌 PLANT MORPHOLOGY 2020 年