開発技術

免疫電子顕微鏡法(イムノゴールド法)

 免疫電子顕微鏡(免疫電顕)法は、抗原抗体反応を利用して目的とする抗原の局在を、電子顕微鏡(電顕)下で識別可能な標識でラベルした抗体を用いて検出する方法です。 蛍光イメージング技術が発展し、蛍光タンパク質を用いて容易に目的とする分子を可視化できるようになった現在においても、組織や細胞内の分子の局在を証明する強力な技術です。
 免疫電顕は、構造観察とは異なり四酸化オスミウムを用いて固定すると抗原性が失われてしまうことが多いため、アルデヒドのみで固定します。また、LR Whiteや Lowicryl HM20などアクリル系樹脂を用いて包埋樹脂ブロックを作製します。その後、ウルトラミクロトームで作製した超薄切片をニッケルメッシュグリッドに拾い、1次抗体を反応させます。そして、金コロイド標識した2次抗体を反応させることで、抗原の位置する場所に金コロイドの影を作り、電子染色後に透過電顕で撮像します。

例えば、これまで免疫電顕により様々なタンパク質の細胞内局在を明らかにしてきました。

ミラクルフルーツ内のミラクリンの局在(筑波大 江面研究室との共同研究)
Hirai et al.,
J. Plant. Physiol. 2010

アズキ子葉 子葉細胞内のシステインプロテアーゼの局在(豊岡の学生時代の研究)
Toyooka et al.,
J.Cell Biol. 2000

インゲン豆老化葉 葉緑体中のルビスコの局在(豊岡の学生時代の研究)
Minamikawa et al,
Protoplasma 2001

分泌に関わる4回膜貫通タンパク質SCAMP2の細胞内局在 (理研/九大 松岡研究室との共同研究)
Toyooka et al.,
Plant Cell 21, 1212-1229, 2009

ニコチントランスポーターMATEの細胞内局在 (奈良先端技術院大学 橋本研究室との共同研究)
Shoji et al.,
Plant Physiol. 149:708-718, 2009

オートファジー関連タンパク質ATG8の細胞内局在(明治大 吉本研究室との共同研究)
Yoshimoto et al.,
J. Cell Sci. 127: 1161-1168, 2014
ほか。

詳細はこちらの総説をご覧ください。
日本顕微鏡学会 和文誌 「顕微鏡」 第52巻 第2号 2017
「植物の免疫電子顕微鏡法」佐藤繭子,後藤友美,豊岡公徳

下記のプロトコルは、当研究室で様々な共同研究で一般的に用いられている方法です。
・透過型電子顕微鏡サンプル作製 免疫電顕用化学固定試料作製法
 〜目的の特異抗体を用いて電顕下で細胞内局在を明らかにする:ブロック作製編〜
(pdf)

・金コロイド免疫電顕法 
 〜目的の特異抗体を用いて電顕下で細胞内局在を明らかにする〜
pdf

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